開発コンセプト 「最大のトルクアップ」

エンジンの性能を活かすも殺すもマフラー次第です。ノーマルのマフラーではエンジンの100%の性能を発揮できません。かといって市販されている多くのマフラーは音量だけのものや、サーキット走行時における高回転域でのピークパワーを重視したものが多く、加速減速の多いスラローム競技やミニサーキットでは必ずしもタイムアップにつながるものではありませんでした。

グループ4ではスラローム競技やミニサーキットにおけるタイムアップにはトルクが必要だと考え、最大のトルクアップ、つまり加速性能の向上を目指したオリジナルマフラーを開発しました。形状や内径を吟味した上、一部車種ではさらなる軽量化に大きく貢献するチタン素材を使い、トルクアップと同時に軽量化ももたらします。

 

開発目標 「体感できる違い」

一般にマフラーの性能をはかるものさしとして、シャシーダイナモを使っての馬力測定のデータを載せていることが多いことは皆さんご存知のことでしょう。

測定には必ず「測定誤差」が発生します。また誤差にも系統誤差と偶然誤差と2種類あり、系統誤差は測定器の癖など傾向的に発生する誤差であり、偶然誤差というものは測定を行うつどに発生する誤差です。実験においては必ず数十回同じ測定を行い、その平均値を用いることで発生する誤差の影響を少なくし、確からしい値を求めるのが基本です。

前述したシャシーダイナモでの馬力測定結果に関しては多くのデータが1回きりの測定結果を載せています。特にタイヤをローラーに載せて測定するものではタイヤのスリップロスの影響が大きいと考えられるため、測定誤差は数パーセント発生することが予測されます。マフラーを交換することによって数馬力向上したというデータを出しているものの、それが本当に測定誤差ではないという保証がありません。以上のことから、残念ながら数値化されているものの、その効果は疑問です。1回測定して、数馬力上がったというデータが出たとしてもそれが競技で効果があるのでしょうか?

そこでグループ4では非常に単純に「体感できる違い」を開発目標としました。体感できる違い。非常に曖昧な表現ですが、誤差ではなく乗れば誰でも、いつでも感じられるものを求めました。

例えば「アクセルのつき」

ジムカーナやダートトライアル、ミニサーキットではタイトなコーナーが連続し、アクセルを全開にせず、ハーフアクセルで我慢のコーナリングをしなければならない場面が数多くあります。アクセルをパーシャルに保ち、そして全開にしていく、このときに前に出る力。アクセルレスポンス、ピックアップ、アクセルのつき。色々な言い方がありますが、それを実現するためには中低速域での「トルク」が必要なのです。

トルクへのこだわり

【図1:パイプ径の違いによる、流速と排気抵抗の関係 左: 中低速域 右: 高速域】

一般に中低速域を重視するとパイプ径を太くせずに、排気抵抗を低めなければトルクが出ることがわかっています。しかしこれでは逆に高速域での抜けが悪くなり、パワーが出ません。逆にパイプ径を太くし、排気抵抗を低めれば抜けがよくなり、高速域でパワーが出ます。しかしトルクが細くなってしまいます。

トルクアップしつつ、パワーもアップしたい。グループ4ではこの背反する条件を次の手法で解決しました。

チャンバーの秘密

まず基本的にパイプ径は太くしていません。そしてノーマルマフラーのセンターサイレンサーの位置に形状は似ていますが役割はまったく違う「チャンバー」を配置しました。

【図2: チャンバーによる渦巻流効果】

「チャンバー」では特殊な内部構造によりチャンバー以降での排気の流れを変えています。具体的には渦巻流を作ることで、排気流速を高めているのです。単純に数式化すると、排気効率とは単位秒あたりの排気量なので

排気量[立法m/s] = 断面積[平方m] x 流速 [m/s]

です。通常は断面積、つまりパイプ径を太くすることで排気量をかせいでいるわけですが、前述したように中速域でのトルクに悪影響が及びます。グループ4ではチャンバーを使用し、流速を高めることで排気効率を上げました。この効果によりトルクアップしつつ、パワーアップの両立に成功したのです。

チャンバー外観(手前) 装着時外観

サイレンサーの秘密

【図3: 上: 2本分岐・2本出し 下: 2本分岐・1本出し「プラットフォーム構造」】

きっとこのような妙な形のサイレンサーを見たことは初めてでしょう。これにも実に深い理由があるのです。

ノーマルマフラーの位置にチャンバーを配置したことは、前述したとおりです。そして普通のサイレンサーのようにストレート構造の周囲にグラスウールをつめただけでは、消音効果が少ないのです。モータースポーツでは騒音規制があるので、たとえトルク、パワーがあるいいマフラーといえども、うるさくては使い物になりません。しかしここで消音効果を高めるために内部に仕切り版をつけたり入力と出力のパイプの位置をずらすなど、せっかくのストレート構造をスポイルするようなことはしたくありませんでした。

そこで考え出されたのが「プラットフォーム構造」です。元々1本だったパイプを分岐してサイレンサー内部のみ2本にし、グラスウールに面する表面積を2倍としました。しかしこのまま2本だしにしたのでは流速が低まり、せっかくパイプ径を抑えてトルクを出し、流速を高めてパワーを出す仕組みだったのを台無しにしてしまいます。そこでサイレンサーを出た後再び1本のパイプに合流することにより、断面積はそのまま、流速は高めたまま排気しつつ、十分な消音効果を得ることに成功しました。それがこの形です。


サイレンサー外観 パイプ合流部からマフラー出口

 

微妙な角度


【図4: マフラー経路の最適化】

マフラーがストレートに近ければ近いほど排気抵抗が低くなるのは周知のことです。グループ4では最低地上高などの関連からノーマルマフラーと同じ位置を通る構造としました。しかし、ノーマルマフラーのようにすべて90度の角度で曲げることはしていません。1度でいいからなるべくストレートに近く、そしてなだらかなカーブになるようにぎりぎりの調整をしています。この地道な努力は熟練した職人でなければ出来ないといってもいいでしょう。

サイレンサーの中心軸と、マフラー出口の中心軸が微妙に異なる、燃料タンクの迂回路の部分が、サスペンションを迂回する部分を最小限にとどめるなど、見れば見るほどこだわりを感じることができます。


エキゾーストシステム外観 燃料タンク廻り サスペンション、スタビライザー廻り サイレンサー軸とマフラー出口軸が微妙に異なる

グループ4オリジナルマフラー(エキゾーストシステム) 写真はすべてシビックR (EK9)用を使用しています


エキゾーストシステム・サイレンサー(チタン製)

エキゾーストシステム・チャンバー(チタン製)

エキゾーストシステム(ステンレス製)

対応車種

 
車両 マフラー部位および材質
シビック EK9 チタンマフラー
インプレッサ GC8 リアマフラー
ランサー CP9A

オールチタンマフラー

ご注意: このページで解説しているエキゾーストシステムはすべて シビック (EK9)用のものです。インプレッサ、ランサーに関してはターボエンジンであることから、構造、形状等が異なります。

開発こぼれ話1

グループ4「本当にトルクアップするんでしょうね? 体感できる違いですからね」
マフラー職人「大丈夫です。シビックレースのデータもありますし」
グループ4「レースはパワーですけど、今回のはトルクが一番重要ですからね。」
マフラー職人「了解です。任せてください」

・・・数ヵ月後

グループ4 「どうですか? 出来ましたか?」
マフラー職人「出来ましたけど、チャンバーがなかなかうまくいかないので今2本目を作ってます」

・・・1ヵ月後

グループ4 「どうですか? 出来ましたか?」
マフラー職人「出来ましたけど、気に入らないので今3本目を作ってます」

・・・1ヵ月後

グループ4 「どうですか? 出来ましたか?」
マフラー職人「ようやく納得がいくのが出来ました。すぐ送ります」

・・・数日後にマフラーが到着

グループ4「よし、すぐに装着だ!」
メカニック「元のマフラーをはずして、交換・・・・あれ? しゃちょー、触媒がつきませーん」
グループ4「え?」

・・・電話にて・・・

グループ4「あのー、触媒つかないんですけどぉ」
マフラー職人「あ!?・・・」

職人はレース専門だったので触媒のことをすっかり忘れてしまったようだ・・・

その日のうちに送り返したのはいうまでもない

開発こぼれ話2

・・・1ヶ月後

グループ4「 直りましたか?」
マフラー職人「今度はちゃんと触媒がつきます。すぐ送ります」

・・・ 数日後

グループ4「今回は触媒がつく?」
メカニック「ええ、ちゃんとつきます。でもしゃちょー、このマフラー、バイクみたいに差込式になっていてバネでとめるんですけど??」
グループ4「え??」

マフラー職人はバイクも得意なのであった。

開発こぼれ話3

グループ4「差込式はレギュレーションに合致しないので、フランジに変更してください」
マフラー職人「え?? ・・・」

・・・数週間後

グループ4「どうですか? できましたか?」
マフラー職人 「気に入らないので、作り直します。前のは今丁度潰してます」
グループ4「 え?(そ、そんな勿体無い・・・)」

・・・そして

ようやく完成にこぎつけました。効果はみなさんで感じてください。